其は紡がれし魂の唄 report32

　もうすっかり顔見知りになったスタッフと挨拶してから、定位置になりつつあるデスクへ陣取る。
　パーツを集め、工具をセット。
　中央にはデバイスフォームにしたタケミカヅチを置く。
　さあやるか、と気合を入れた瞬間ドアが開く音がして、

其は紡がれし魂の唄 report31

────────interlude

　転送ポートから放り出されたのは海の上空。
　私は仰向けに落ちるに身を任せ、目を瞑った。

其は紡がれし魂の唄 report30

　鼻腔をくすぐる潮風の香りに頬を緩ませる。
　この街から離れていたのはたったの１週間弱。
　にも関わらずこの匂いをかいで帰って来たと思うのは、それだけ俺がこの街の住人として馴染んだ証拠だろう。

其は紡がれし魂の唄 report29

　翌日から俺達のアースラでの生活が始まった。
　アースラに移動する前、はやて達にはしばらく管理局に協力する旨を伝え、いざと言う時用の緊急連絡用端末を渡してある。
　ヴォルケンリッターが揃ったこの状況で、連絡を取らなければいけない状況がそうそうあるとは思えないが。
　念の為、と言うやつである。

其は紡がれし魂の唄 report27

　緑の流れるような髪を１つに纏めた女性。
　知った顔どころか、８年前まではかなりの縁があった女性だ。