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リリカルなのは二次小説中心。 魂の唄無印話完結。現在A'sの事後処理中。 異邦人A'sまで完結しました。
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 なのはが開けてくれた玄関をくぐると、最初に目に入ったのは黒髪の青年だった。

「お帰りなのは。そちらがさっき言ってたお客さんか?」
「うん、ただいまお兄ちゃん!」

 しっかりと鍛えられた身体は細すぎずしかし筋肉がつきすぎというわけでもない。
 何よりその身のこなしや足運びが洗練されていた。

「うわ、予想以上に強くなってるし」

 こりゃ恭さんの戦闘能力、上方修正が必要そうだな。
 リーチとか考えりゃ勝率三割切るか?

 ついつい漏れでてしまった言葉は彼にも聞こえたらしい。
 訝しげな視線に目が合い、止まる。

「……」
「……」

 見詰め合う俺達。
 その均衡を破ったのは第三者だった。

「ただいまー、今日はお客さんがいっぱいだけど、何かあったの?
 って、なに男の子と見詰め合ってんの、恭ちゃん」
「うわっ!?」
「!」

 大げさに驚いたのが俺。
 静かに驚いたのが彼。
 こちらも記憶にあるのよりは少し大人びているが懐かしい声だ。
 高校の制服に身を包み、その長い黒髪を三つ編みにして眼鏡をかけた少女。

「……あれ、眼鏡? 目え悪くなったのか?」
「んー? 少年、以前会った事でもある?」

 その言葉に苦笑いを返した。

 ま、分からんのも無理はないか。
 あの頃はまだ式守の血が前面に出てなかったし。

「あはは、やっぱ分かんねえよなあ」
「……もしかして、刃護か?」

 訝しげに俺を観察していた彼の目に理解の色が点る。

 ってかまさか分かるとは思わなかった。
 びっくりだよ、おい。

「正解! つうかよく分かったね、恭さん。
 えっと……滅茶苦茶久しぶり?」

 しゅたっと右手を挙げると俺の隣にいたみーちゃんに凄い勢いで詰め寄られた。

「って、刃護君!? うわ、凄い久しぶり……ってそうじゃなくて!
 今まで何やってたの? 鈴莉さんもずっと心配してて。
 それにその頭は? まさか刃護君不良になった!?」
「や、ま、ちょ、みーちゃん落ち着けって。
 そんなに一度に言われても答えられないから」

 がくがくと肩を揺さぶられながらも何とか言葉を搾り出すと、ようやく少し落ち着いたのか手を離してくれた。

 ……訂正。
 よく見たら恭さんが止めてくれただけだった。

「にゃはは。本当にうちと付き合いあったんだ」
「だからそう言ったろ。あ、もしかしてまだ疑ってたのか?
 ……俺は冗談は好きだが嘘は好かん」

 未だぐらぐらしている頭を押さえながら言うと、

「君はもっと冗談を控えるべきだと僕は思うがな」
「ははは……クロノに同感」

 クロとついでに妙に疲れている雰囲気のユーノに突っ込まれた。

「刃護がいなくなってもう五年が経っているんだぞ。
 いったい今まで何やってたんだ?
 突然帰ってきたという事は何か厄介事か?」
「なんで俺が来ると厄介事って断定するかな……まあ、正解だけど。
 それと帰って来なかったんじゃなくて、正確に言えば帰って来れなかったんだよ」

 揺さぶられて必要以上に崩れてしまった服を整える。

「まずは今この街で起こってる事を説明するから聞いてもらえないかな。
 俺の話はその後にでもするからさ」
「……いいだろう。ここ最近なのはが何をしているのかも気になってたしな。
 父さん達ももうすぐ帰ってくるはずだ。リビングに来い。茶でも出そう」

 全員が玄関に入ると、唯一の大人であるリン姉に恭さんが警戒を示した。
 大丈夫と肩を軽く叩くと、恭さんの警戒レベルが下がる。
 それでもそれなりに警戒を残している所が恭さんらしいなあと苦笑した。

「ただいまー」
「なのははもう帰ってる?」

 戸口から聞こえたのは懐かしい声。

 ああ、あの二人は全然変わってないらしいな。

 所在なさげに俺達がいるリビングに入ってきた二人を見た瞬間、本当に帰ってきたのだと実感した。

「シロさん!! 桃ちゃん!!」
「その呼び方は……」
「まさか刃護か!?」

 シロさんが駆け寄ってきて俺の肩をがっしり掴む。

「馬鹿野郎っ! 五年もいったいどこほっつき歩いてたっ!」
「っ、くっはあっ、耳、耳キーンって」

 ちょ、頼むからもうちょい加減してよ、シロさん。

「あらあら、刻国さんに似てきたわね」

 桃ちゃんの方も何か言いたそうではあったが、今はシロさんに任せたっぽい。
 いや、シロさんを止めない辺り、桃ちゃんも結構怒ってるのか?

「って、俺も別に何もしないでいたわけじゃねえんだって。
 色々と手を尽くしてもらって、ようやく帰ってこれたんだから」
「そ、そうか……すまない」

 ようやく肩を離してくれた。
 俺の言葉で少しだけ冷静になってくれたらしい。

「いてて、相変わらず凄え握力」

 あー、肩が……肩がぁ……。
 ったくシロさんもみーちゃんも、御神の剣士は握力が尋常じゃないんだからその辺り自覚して欲しいもんだ。

「あっ、鈴莉ちゃんに連絡!」
「桃ちゃん、ストップ!」

 慌てて受話器を手に取った桃ちゃんを止める。

「何で、刃護君!?」
「いや、後で連絡はするから。
 でもそれやっちゃうと俺の話がメインになっちゃうでしょ。
 先にこっちの話を処理しておきたいんだ。
 五年も離れてたんだし一、二時間やそこら遅くなっても変わらないから、まずは俺達の話を聞いてくれないか?」
「でも!」
「俺の話はちゃんと後でするから、ね?」
「桃子、今は刃護の言う通りにしよう」

 納得いかなそうな桃ちゃんをシロさんが宥めてくれた。
 シロさんが俺以外の面子を指し示した事で、彼女はようやく客が俺一人じゃない事に気付いたらしい。
 慌てた姿を見られた事に少しだけ恥ずかしそうにしながら、桃ちゃんは頷いて台所へと消えていった。

「妻が今お茶を淹れていますのでとりあえずソファへどうぞ。
 そちらでゆっくりお話を聞かせていただく事にします」
「ええ、こんな時間に突然お邪魔して申し訳ありません。
 少々長くなるとは思いますがよろしくお願いします」
「刃護も、逃げるなよ」
「あいよー」

 リン姉とシロさんが挨拶を交わすと、ソファに座る前に釘をさされる。
 それに軽く冷や汗をかきながらソファへ腰掛けた。

 あー、今はいいけど後が大変そうだ。
 お手柔らかに……って、無理か。

 内心嘆息すると、俺は密かに質問攻めにされる覚悟を決めた。




「あー、これだよこれ。
 翠屋ブレンド飲むと帰ってきたって気になるね」
「あらそうかしら?」
「ん、でもベースは変わってないけど前より美味くなってない?」
「当然よ。今でも腕は磨き続けてるんだから」

 むん、とかわいらしくガッツポーズをした桃ちゃんに軽く笑む。

 さてと、和むのはこの辺りにしておこうか。

「まずは自己紹介からかな」
「そうだな。じゃあうちの方からするか。
 なのはの父の高町士郎です」
「母の高町桃子です」
「兄の恭也です」
「姉の美由希です」

 や、ずらりと並ぶと凄いな。
 なんかみーちゃんの身のこなしもあの頃からは考えられないくらい洗練されてるし。

「で、こちらが」
「時空管理局提督巡航八番艦アースラ所属、リンディ・ハラオウン提督です」
「同じくアースラ所属、クロノ・ハラオウン執務官です」
「民間魔導師、ユーノ・スクライアです」
「ユーノ?」

 反応したのはみーちゃん。

 ま、自己紹介までしたら誤魔化せんよな。
 っていうか恭さんの視線が恐え。

「……あのフェレットと同じ名前だな」
「同じもなにも、本人だよ」

 俺が補足した瞬間、ユーノに向かって殺気が飛んだのが見えた。

 殺気が見えるってどんだけなんだ。
 とりあえずユーノ、ご愁傷様。

「しまった、迂闊だったな。そうか、変身魔法か」
「シロさん、ご名答」

 言ってから二人にアイコンタクトで、「絞めるのは後で」と伝える。
 即効で「「了解」」と力強い言葉が返ってきた。

 息、ぴったりですね。

 ちなみに声に出さないのは、出したら確実になのは達に止められるからだ。
 女性陣に止められたら二人共行動に移せずに終わるのが目に見えてる。

「あ、俺か」

 全員の視線を受けて気付いた。
 と言うよりか俺は全員と面識あるから必要ないと思い込んでいたのだが。

 ま、俺の立場を明確にするいい機会か。

「時空管理局本局統幕議長直属執務官、ジンゴ・M・クローベルです」
「なるほどな。道理で見つからないわけだ。
 いなくなったと思ったら向こうにいたのか」
「でもクローベルって?」
「向こうで活動する時に行動を制限されないように養子入りしたんだ。
 ま、その辺りの話も後でまとめてするからさ」
「そう」

 そわそわしたままの桃ちゃんをシロさんが落ち着かせて、俺達の事情説明が始まった。
 

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内海 トーヤ
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ヘタレ物書き兼元ニート。
仕事の合間にぼちぼち書いてます。

其は紡がれし魂の唄
(なのはオリ主介入再構成)
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遥か遠くあの星に乗せて
(なのは使い魔モノ)
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(なのは×はぴねす!+BLEACH多重クロス再構成)
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