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リリカルなのは二次小説中心。 魂の唄無印話完結。現在A'sの事後処理中。 異邦人A'sまで完結しました。
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「近接格闘訓練?」
「ああ、なのはは接近戦の得意な相手に弱いだろ?」

 目の前には首を捻るなのはの姿。
 今は朝の魔法訓練が終わって、訓練場所である高台途中の広場から家に戻る道中だ。

「にゃはは、私運動苦手だから」
「まあ、それは知ってる。
 なのはのフィールドは中距離から遠距離だ。
 だけど少しでも近距離の技術をかじっておけば、相手の思考も読み易い。
 生兵法は怪我の元とも言うけど、生兵法で済ますつもりはねえしな。
 とりあえず自分ができなくとも戦術的にゃプラスになるはずだ」
「にゃっ……ジンゴ君がなんか難しい事言ってるよ」
「お前なあ……」

 茶化すなのはに呆れた顔を返す。
 それがポーズである事が互いに分かる程度には接してきた。

「俺がいれば前衛は俺ができるから問題ない。
 だけど一人でも対応できるようにしておいた方が安心だろ?」

 これは建前だ。
 最近この世界の近くで辻斬りめいた事件が起こっている事はまだ民間魔導師であるなのはには伝えられない。
 護衛対象にも伝えてはいけないのかと言う俺の質問に本局上層部は、第一級捜索指定遺失物に関わる情報をただの民間魔導師に伝えるわけにはいかんと突っぱねた。

 それで被害に遭うのは民間魔導師だと言うのに……忌々しい。

 ついでに言えば、上層部のほうは対象ロストロギアに大体の目星をつけたらしい。
 尤もその情報は全く現場に下りて来ていないようだが。
 これだから組織ってやつは、と内心溜息をついた。

「ジンゴ君、いなくなっちゃうの?」

 それを敏感に感じ取ったのか、なのはが顔を引き締める。

 要は情報を伝えなきゃいいんだろ、要は。

 狙い通りの反応に心の中でほくそ笑む。
 言葉にしなくとも忠告は可能。
 ばあちゃんと話し合った結果、この方法に落ち着いた。

「事件の関係で俺がなのはの側にいれない事も増える。
 ばあちゃん直属とは言え一応執務官だからな。
 フェイトの裁判関係でも抜けるし、ある程度出来るようになっておいた方がいいと思う」

 暗に一人で対処する必要が出てくる可能性を教える。
 それに対しなのはは深く突っ込まずに首を縦に振った。

 聡すぎるぞ、小学三年生。

 内心の突っ込みは表に出さない。
 こんなのが小三とは世も末だ、等とどうでもいい事を考えていた。

「わかった。いつからやるの?」
「今日の晩から、かなあ。
 基本的な体捌きから入って、組み手をしながら俺ならどこを狙うか、どんな感じで攻めようとするかを教える予定。
 余裕があるなら恭さん達にも協力してもらおうかと思ってる」
「そっかあ。うん、頑張る」

 よしっと気合を入れなおす彼女を見ながら少しだけ微笑む。
 彼女が傷ついて倒れてしまわぬよう、俺も全力を尽くさねばと気合を入れた。




「そう言えばさ」
「ん?」

 ここは学校、今は昼休み。
 そろそろ寒くて我慢できなくなってきたが、未だに俺達は昼食を屋上で食っている。
 俺達というのは俺となのは、アリサ、すずかの四人だ。

 どうも初日の印象が悪すぎたらしく、俺がクラスに馴染むのは時間がかかった。
 馴染んできた頃には、すでに俺はこのグループの一員だと認識されていた。
 この方が護衛の面から見れば都合がいい事はいいのだが、周りの視線がちょいと気になる。
 なにせこの三人、学校内でも飛びぬけて容姿がいいのだ。
 男子連中の嫉妬の視線が痛い。

「あんた、何か吹っ切れた?」
「は?」
「あ、それは私も思ってた。ジンゴ君、前より前向きな雰囲気だよね」

 とはすずかの談。

 彼女、少し男性恐怖症な所があったらしいのだが今の態度は気安い。
 それだけ俺がこのグループに馴染んだと言う事なのだろう。

「……まあ、確かにちょっと前まで迷いはあったけど。よく見てるな、お前ら」
「当たり前じゃない!」

 何が当たり前なのかよく分からなかったので、なのはに視線を送る。
 が、彼女は笑うだけで答えてくれず、代わりにすずかが苦笑しながら答えてくれた。

「友達だから、当然だよ」

 なるほど。
 ふむ、つまりアリサはアレか。
 今流行の、

「ツンデレ、と言うやつか」
「アホかーーーーーーっ!!」
「にゃ、にゃはは……」
「アリサちゃん、やりすぎだよ」
「痛え……」

 はたかれた頭をすりながら呟く。
 冷たい風が吹きすさぶ屋上で、心の中だけがとても暖かい。

「ん……心配してくれてありがとな、アリサ」
「ふんっ、分かればいいのよ、分かれば」

 ついっと横を向いたアリサの頬は少し赤い。
 それにこう、腹の底からむくむくと何かがせり上がってきた。
 衝動に逆らう事なく、俺はぐっと親指を立て、

「この場合は、ナイスツンデレ、で合ってるか?」
「アホーーーーーーーーーーーッ!!!」
「それはフォローできないよ、ジンゴ君」

 はたかれた額とすずかの呟きがほんの少しだけ胸に沁みた。




 一二月一日、明日にフェイトの最終裁判を控えたこの日は、本局へ泊まり込みだ。
 アースラの本局へのドッキングが終了したと聞き、俺はアースラ艦内へ向かった。

「すまない、遅れたか?」

 食堂にはすでにクロ、ユーノ、フェイト、アルフの四人が座っていた。
 明日の裁判関係者は、俺が到着した事で全員揃ったようだ。

「いや、さっきまで戦闘訓練してたからな。今から打ち合わせを始める所だ」
「そうか、よかった」

 言いながらクロの隣に座る。
 そのまま手元の端末を起動した所で説明が始まった。

「さて、最終確認だ。被告席のフェイトは裁判長の問いにその内容通りに答える事」
「うん」
「今回はアルフも被告席に入ってもらうから」
「分かった」

 緊張気味の二人に苦笑する。
 上層部でも結論は出ているから、ほぼ無罪は確定。
 そう緊張する程のものでもない。

「で、僕とジンゴ、それとそこのフェレットもどきは証人席。質問の回答はそこにある通り」
「む、俺の分結構少ないな」
「うん、分かった……って、おい!」

 突如身を乗り出してノリ突っ込みしたユーノに驚く。
 何かおかしな所あったかと首を傾げると、ユーノはげんなりした顔を見せた。

「ジンゴまで……」
「どうかしたか?」
「誰がフェレットもどきだ! 誰が!!」
「「君(ユーノ)だが、何か?」」

 あ、ハモった。

「そりゃ動物形態でいる事も多いけど、ボクにはユーノ・スクライアって言う立派な名前が!」
「知ってるぞ」

 冷静に返すもユーノはまだ怒りが収まらない様子。
 それに俺はなんでここまで怒っているのかが分からず、眉間の皺を深めた。

 正体がバレた後も必要ないのにフェレットでいたんだから、こう言われても仕方ないと思うのは俺だけか?

「ユーノ、まあまあ」
「クロノ、ジンゴ、あんまり意地悪言っちゃ駄目だよ」
「大丈夫、場を和ませる軽いジョークだ」
「あ、ジョークだったのか」
「ジンゴ、君なあ……」

 冗談だよと苦笑する。
 半ば本気だったのがクロには分かったのか、呆れた目を俺に向けてから気を取り直したように咳払いをした。

「事実上、判決無罪。
 数年間の保護観察という結果は確定と言っていいんだが、一応、受け答えはしっかり頭に入れておくように」
「「「はい」」」
「ま、気楽にな。何かポカしても多分俺達でフォロー可能だ。だよな?」
「ああ、緊張のしすぎはよくない。さて、最終打ち合わせはこんなもんか」

 クロが立ち上がるのと一緒に俺も席を立つ。
 大した時間座っていたわけじゃないのに、伸びをしたらごきっと背骨が鳴った。

「……年か? ジンゴ」
「クロはこれからリン姉んとこ?」

 その質問はスルーしてやる。
 優しい俺に感謝しやがれ。

「……ああ」
「じゃあ俺も行くよ。確認しておきたい事もあるし」
「っ……そうか」

 クロは一瞬だけ執務官の顔になると、俺の同行を許可する。
 フェイト達と手を振って別れ、並んで廊下を歩きながら口を開いた。

「レイ姉から聞いてるか?」
「レティ提督から? いや、何も」
「……そうか。じゃあそろそろリン姉辺りに連絡が行ってるかもしれないな」

 何がだと目で聞いてくるクロから目を逸らし、ドアを開ける。

「事件さ」
『ロストロギアよ。一級捜索指定がかかってる超危険物』
「あっ」

 室内ではタイムリーな事にリン姉とレイ姉が通信をしていた。
 驚いた声を漏らすクロに、口角を上げる。

 ナイス、タイミング!
 

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ヘタレ物書き兼元ニート。
仕事の合間にぼちぼち書いてます。

其は紡がれし魂の唄
(なのはオリ主介入再構成)
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遥か遠くあの星に乗せて
(なのは使い魔モノ)
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異邦人は黄昏に舞う
(なのは×はぴねす!+BLEACH多重クロス再構成)
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