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リリカルなのは二次小説中心。 魂の唄無印話完結。現在A'sの事後処理中。 異邦人A'sまで完結しました。
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────────interlude

「皆どう? 今回の旅は順調?」


 あの日報告を受けてから動揺しっ放しの自分を隠して、私はクルーの皆に問う。

「はい、現在第3船速にて航行中です。
 目標次元には今からおよそ160ベクサ後に到着する予定です」

 キーボードを叩き、画面を見ながらオペレーター席に座ったアレックスが答える。
 その隣に座っていたランディが続けた。

「例の大規模砲撃と前回の小規模次元震以来、特に目立った動きはないのですが。
 ……2組の捜索者が衝突する可能性が非常に高いですね」

 つい反射的に大規模砲撃の所で眉がぴくりと動いてしまった。

 駄目ね、こんなんじゃ。
 艦長失格だわ。

 内心溜息をついてから艦長席に座ると横合いからお茶が差し出される。
 そちらの方を向くといつもの笑顔で息子の補佐官が立っていた。

「ありがとね、エイミィ」

 受け取ってからまずは1飲み。

 あの子の事を考えるのは後でいい。
 本来ならありえない事なのだから。

「そうねえ……小規模とはいえ、次元震の発生は……ずずっ、ちょっと厄介だものねえ。
 危なくなったら急いで向かってもらわないと……ね! クロノ」

 わざとおどけながら全身を黒で覆った息子に話しかける。
 艦橋の1階部分にいたクロノは、2階にいる私の方を向くと、

「大丈夫……わかってますよ、艦長」

 どうやらあの子も仕事に徹しきれていないようだ。
 本当に私達、駄目親子ね。

「ボクは……その為にいるんですから」

 その言葉に自分以上の動揺を感じ取って、私は最愛の息子から目を逸らした。

────────interlude out

 今日も学校は休まされた。
 いや、別にそこまでして行きたいってわけじゃない。
 実際学校に行かないほうが、自分の時間が多く取れて便利だし。

 だが今日は行っておきたかったのだ。
 なぜなら、

≪sorry, doctor≫

 ベオウルフが俺の手元にいるから。

 昨日起きたなのは、フェイトとジュエルシードの接触、後でドラッケンに聞いたら小規模だが次元震が起こっていたらしい。
 なのはの魔力に耐えられるよう、かなり丈夫に作ったこいつでもさすがに耐えきれなかったみたいで、チェックしなくても分かる位にぼろぼろだった。
 自己修復もしているようだが、俺が手を加えてやったほうが直りは早い。

「それ取ってくれ」
「これか?」

 で、右腕の動かない俺は今、八神家に借りたシグナムに手伝ってもらいながらベオを修復中。
 ちなみにはやてはシャマル、ザフィーラと病院でリハビリ中。
 ヴィータは近所の爺さん達の所へ遊びに行ったらしい。
 なんと言うかあっという間に溶け込みすぎだと思う。
 まあ、着々と家族っぽくなっていってるようで何よりだが。

 修復用パーツはユーノの為に組もうと思っていたデバイスのパーツをばらして流用している。

 自分が持ってるデバイスは起動しか出来ないとかほざきやがったから、1つ組んでやろうかと思っていたのだ。
 起動しか出来ないなら持ってる意味あるのかって聞いたら、今回の発掘時のお守りとして族長に貰ったとか。
 確かデバイスの銘は“レイジングハート”不屈の心、だ。
 見せてもらったら素晴らしい完成度のデバイスだった。
 あの緻密な設計は正直俺には真似できないだろう。
 にも関わらず、出所は不明。

 あれだけのデバイスを作れるなら、作り手はかなり名のあるデバイスマイスターだと思うんだけどなあ。

「もうちょい右に頼む」
「む、こうか?」
「そ。そのままな」

 箸は持てないが工具は持てる俺の左手万歳。
 ……あーん攻撃は精神的につらいから、左手で箸を使う練習もするか。

「よし、完成!」
≪perfect. thank you very mach, doctor≫
「おうよ。なのはをよろしくな」
≪yes, of course≫

 これでベオの改修も完了。
 防御用に作るつもりだったパーツを流用したから前より頑丈になっている。

 ユーノ用はしばらくおあずけだな。
 手持ちのパーツもなくなってきたし。

「しかし凄いのだな、デバイスマイスターというのは。私にはさっぱりわからん」
「そうか? ちょいと勉強すればシグナムにもいじれると思うが」
「……いや、やめておこう」

 あー、そういやこいつ意外と不器用だったな。
 餅は餅屋、か。

「しかし、暇になったな。また周天法でもやっておくか」
「周天法? なんだ、それは」
「シグナムもやるか? 周天法ってのはな──」

 シグナムに説明しながらベオ達を持って立ち上がる。
 性格的に結構向いてそうだし、なのはが帰ってくるまでシグナムに周天法を仕込む事にしよう。

────────interlude

 今日は母さんへの報告の日。

 結構な時間があったのに、たった2つしかジュエルシードを集められなかった。
 母さんに申し訳なく思いながら、身体に走る痛みに耐える。

「っ、あうっ」

 思わず耐え切れずに声を出してしまう。

 いけない、これは罰なんだ。
 だからきちんと耐えないと……

 そう思って更に飛んでくるはずの鞭に備え、ぐっと唇を結ぶ。
 ふと、定期的に鳴っていた鞭の音がやんだ。

「たったの2つ。これはあまりにも酷いわ」

 その言葉で私は顔を上げた。
 目に映るのは誰よりも大切な私の母さん。

「はい……ごめんなさい、母さん」
「いい、フェイト? あなたは私の娘。
 大魔導師プレシア・テスタロッサの1人娘」

 喋りながら母さんが近づいてくる。
 私の目の前で立ち止まると、顎を持ち上げられ母さんと目が合った。

「不可能な事などあっては駄目。
 どんな事でも……そう、どんな事でも成し遂げなければならないの」
「はい……」

 そうだ、私は母さんの娘だから。
 もっと頑張ってジュエルシードを集めなきゃ。

「こんなに待たせておいて上がってきた成果がこれだけでは、母さんは笑顔であなたを迎えるわけにはいかないの。
 わかるわね、フェイト」
「はい、わかります」
「だからよ。だから、覚えて欲しいの。
 もう2度と母さんを失望させないように」

 母さんの杖が再び鞭に変わる。

 ああ、お仕置きされるんだ。
 私は駄目な子だから。

 これから来るであろう痛みを思って、私は目を伏せた。

「ロストロギアは母さんの夢を叶える為にどうしても必要なの」
「はい、母さん」

 ああ、母さんが何か言ってる。

 痛みで朦朧とする意識の遠くで、母さんの言葉を聞こうともがいた。

「あなたは優しい子だから躊躇ってしまう事もあるかもしれないけど、邪魔する者があるなら潰しなさい」

 邪魔する者。
 ……その言葉で白い服の女の子と蒼い目をした男の子を思い出した。

 背中、治してもらったけど、無駄になっちゃったな。
 ……そう言えば、母さんへ伝言があっんだっけ。

 伝えなきゃ、その一念で口を開く。

「あなたには──」
「伝言……」

 言って自分で驚いた。
 無意識とはいえ母さんの言葉を遮るなんて初めてな気がする。
 母さんも私の反応が意外だったのか、私を見ていた。

「敵対した……銀髪の魔導師、から、母さんに伝言が……」
「銀髪……いいわ、続けなさい」

 母さんが自分の研究以外に興味を示すのは珍しい。
 彼の言葉を思い出しながら口に出す。

「『アラン・ファルコナーはどんな手を使ってでもあなたに会いに行く』と」

 それを聞いた母さんの表情は、初めて私を見た時の彼の表情によく似ている気がした。

「そう……生きてたの」

 呟くようにそれだけを言うと母さんは私に背を向けた。
 お仕置きはもう終わりなのだろうか。
 母さんを見る為上半身を上げようとするも、腕に力が入らず叶わない。

「少しやる事が出来たわ。
 私はこれで部屋に戻るけど、行って来てくれるわね。私の娘、可愛いフェイト。
 次は必ず、母さんを喜ばせてちょうだい」
「はい、行ってきます、母さん」

 いったい彼は何者なんだろう。
 考えながらなんとか立ち上がる。

 彼と母さんは面識があるようだった。
 でも、私は彼に見覚えがない。

「っ痛」

 頭が痛む。
 昔を思い出そうとするといつもこうだ。
 私は思い出す事を諦めた。

 伝言はちゃんと伝えたし、私は私の成すべき事を成さなければならない。
 ふらつく身体を押さえながら、私は母さんの部屋を後にした。

────────interlude out

「ただいまっ。お兄ちゃんベオウルフは!」

 玄関を開けた瞬間にベオの事を聞くなのはに苦笑しながら声をかける。

「おかえり、なのは。ちゃんと完治してるから落ち着け」
「はにゃ!? いきなり後ろから声かけないでよ、驚いたの。
 って、道場にいたの?」
「ああ、シグナムに周天法を教えててな」

 開けっ放しになってたドアを閉めながら、懐からベオウルフを取り出す。

「もう大丈夫なの?」
「おう。
 ついでにフレーム強化もしたから、前より調子はいいはずだ。なあ、ベオ?」
≪sure. condition, all green≫
「そっか」

 なのはは俺からベオを受け取ると、抱きしめるように両手で包んだ。

「痛い思いさせてごめんね。また私と戦ってくれる?」
≪of course. it's my happiness to do anything for you≫
「ありがとう」

 いいコンビだ。

 シグナムもそう思ったのか、いつもより幾分顔が柔らかい。

「ユーノはすでに探索に出てるけど、合流するのか?」
「うん、着替えたらすぐに行ってくるよ」

 そう残してばたばたと自分の部屋へ走って行く。
 慌しい妹の様子に苦笑しながら、俺も靴を履き替えた。

「お前も行くのか?」
「ああ。この件だけは自分の目で見届けたい」
「そうか」

 俺の回答にシグナムは若干すまなさそうな顔を見せた。
 多分自分達が大っぴらに手を貸せない事を心苦しく思っているんだろう。

 関わらせないように指示したのは俺だし、結構俺の我侭も入ってたから気にしなくてもいいんだがなあ。

「そんな顔すんなよ」
「いや、すまないな。だが無理はしないでくれ。
 お前に何かあれば、主はやてが悲しむ」
「ああ、わかってるさ。ありがとな」

 俺ももうあんなのはごめんだ。
 一応シャマルから簡易魔法の使用許可はもぎ取ったが、なるべく使わないようにしておこう。

 再びばたばたと足音がしてなのはがやってくる。

「よし、行くぞ」
「にゃ!? お兄ちゃんも来るの?」

 途端、心配そうな顔を見せるなのは。

「大丈夫だ。昨日の夜シャマルから簡単な魔法行使の許可は取ってある。
 それに、基本的には手を出さないさ」
「うー、まあそういう事なら」

 明らかに渋々といった様相だったが一応OKが出たので並んで歩き出す。
 今日は本当に大人しくしとかなきゃ、また説教大会コースなんだろうなと溜息をついた。

 現在ユーノは臨海公園の側で探索中との事。
 そちらに向かって歩いている途中で、魔力のうねりを確認した。

「お兄ちゃん!」
「走るぞ」

 身体の負担にならない程度のスピードで走り出す。
 公道から森に入った所でなのはと同時にセットアップした。
 走る先にはすでに交戦中の金色と、ゲームに出てきそうな樹木系モンスター。

「やれやれ、今回は植物か。
 俺は邪魔にならない所で見てるから行って来い」
「うん!」

 ディバインシューターを展開しながら加速するなのはを見送る。
 周りを見渡すとフェレットモードのユーノがいた。
 封時結界を張った後は手出しが出来なかったようだ。

「お疲れさん、ユーノ」
「あ、アランさん。大丈夫なんですか?」

 まったく、どいつもこいつも俺の事心配しすぎじゃないか。

「ま、一応な。おおっ、今回のは生意気にもバリア張りやがる」

 あれ位ならなのはのバスターで1発だけど。
 あれ? なのはがフェイト嬢の方を見てタイミング計ってるな。
 ああ、なるほど、話をする為にも一緒にやるのか。
 一方的だとあっちが気後れするもんなあ。
 うむう、成長したな、なのは。

 などとつらつら考えているうちに2人の準備が整う。

「ディバイン」
≪buster≫
「貫け轟雷」
≪thunder smasher≫

 2人の同時攻撃により、モンスターはあっさりと沈黙。
 後に残ったのは核となっていたジュエルシードのみ。

「ジュエルシード シリアル Ⅶ」
「封印!」

 今回の封印も同時。
 やはりジュエルシードはどちらかに回収される事なく、その場に浮かんだままだ。
 そのままジュエルシードを中心に、2人が空中で対峙した。
 先にフェイト嬢が口を開く。

「ジュエルシードに衝撃を与えてはいけないみたいだ」
「うん、昨夜みたいな事になったら、私のベオウルフもフェイトちゃんのバルディッシュもかわいそうだもんね」

 だよなあ、次元震が起こると大変だもんなあ。

 と少しは現状を把握したらしいフェイト嬢の言葉に頷いていたので、なのはの言葉で思わずこけてしまった。

「ユーノよう。うちの姫様はなんであんな暢気なのかねえ……」
「あ、あはは。
 そう言えばなのはには次元震の危険性について説明するの忘れてました」
「あ……俺もだ」

 黄昏る教育者をよそに2人の話は続いて行く。

「だけど、譲れないから」
「私はフェイトちゃんと話したいだけなんだけど……けどね」

 表情が切り替わる。
 が、目つきはいつも通りだ。
 どうやら御神の戦士としてではなく、あくまで高町なのはとしてこの場に立つつもりらしい。

「私が勝ったら、フェイトちゃんのお話聞かせてもらうから」

 断言か、妹よ。

 フェイト嬢は少し顔を顰めるだけで、そのままバルディッシュを構えた。
 対するなのはもナックルフォームでベオウルフを構える。

 って、さっき衝撃与えたらアウトって話してたくせに、この場で戦うのかよ!?

「ユーノ、あっちの使い魔は任せた」
「えっ!? あ、はい」

 そうこうしている間に2人は動き始める。

 まずは戦闘を止めてから場所の移動を、って転送魔法!?
 まさか、もう管理局が来たのか!?
 くそっ。

 どうやら戦闘を止めるつもりらしいので、その背後に回りこむ。

 頼む……まともな奴が来てくれよ。

 光が集束する。
 ゲートが開いて丁度なのはとフェイトの間に登場した影は、2人の攻撃をそれぞれの手で止めようとして、

 って、やばいな。
 なのはの攻撃って見た目よりはかなり重いんだが大丈夫か?

「っぐ、ストップだ。ここでの戦闘は危険すぎる」

 おお、なんとか止めたか。
 根性だな、男の子。
 っと、こんな事してる場合じゃないか。

 俺は手に持ったタケミカヅチを抜刀すると、更に口を開こうとした少年の首に当てる。

「ストップだ。両手を上に挙げ所属艦隊と姓官名を述べよ」

 意識して威圧する。
 俺の雰囲気を感じ取ったか、フェイト嬢となのはは引いた。
 少年が恐る恐る両手を挙げて行く。

「じ、時空管理局巡航8番艦アースラ所属、クロノ・ハラオウン執務官だ」
「……クロ坊?」

 黒髪に黒服。
 黒1色に統一された少年をまじまじと観察した。

 うわ、でっかくなったな、こいつ。
 ん、クロ坊って事は今は……ひの、ふの……14歳、のはず。
 ……ちっせえなあ、こいつ。

 クロ坊はいいが上官を確認しないと、と喋ろうとした瞬間、

「っ、その呼び方、まさかっ」
「フェイト、撤退するよ!」

 振り向こうとするクロ坊、首を切りそうになって慌ててタケミカヅチを引く俺、更にフェイト嬢の使い魔であるアルフから飛んできたオレンジの魔弾。

「にゃ、にゃにゃ!? 何!? 何が起こってるの!?」

 場は一気に混乱した。
 フェイト嬢がジュエルシードに手を伸ばすのを見ながら、アルフの魔力弾を防ぐべくシールドを展開し、

「っ、させないっ!」
「あっ」

 フェイト嬢がクロ坊の水色の弾幕に撃ち落されるのを見た。

「フェイト!!」
「フェイトちゃん!?」
「ちいっ」

 思わず舌打ちした俺をクロ坊が驚いたように見る。

 悪いな、まだこちらの計画上彼女を落とさせるわけにはいかないんだ。
 あの人の所に辿り着くにはあの子が鍵っぽいからな。

 ドラッケンを装備し、彼女とクロ坊の間に立つ。
 クロ坊に向かって構えた。

「フェイト、逃げるよ!!」

 どうやら彼女は使い魔に助けられたらしい。
 クロ坊が慌てて追撃をしようとデバイスを構え、それならと俺が魔力を拳に込めた所で、

「駄目ーーっ!!」

 視界が白に覆われる。
 目線をずらすとなのはが両手を広げ、俺を庇うようにクロ坊に相対していた。

「……はあ」

 クロ坊がデバイスを下ろした。
 が、俺はまだ警戒を解かない。

「アランさん?」
「お兄ちゃん?」
「やっぱり、先生ですか!」
「「先生?」」

 なのはとユーノは俺とクロ坊を交互に見ている。

 まあ、無理もないか。

「クロ坊、1つ聞きたい」
「えっと、なんでしょう?」
「今のアースラ艦長は、誰だ?」

 クロ坊は8年ぶりの再会にしてはおかしい俺の態度に困惑しながらも口を開き、

『私よ。ふう、やっと繋がった……』




 中空に現れたウィンドウに阻まれた。
 

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内海 トーヤ
性別:
男性
自己紹介:
ヘタレ物書き兼元ニート。
仕事の合間にぼちぼち書いてます。

其は紡がれし魂の唄
(なのはオリ主介入再構成)
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遥か遠くあの星に乗せて
(なのは使い魔モノ)
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(なのは×はぴねす!+BLEACH多重クロス再構成)
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