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リリカルなのは二次小説中心。 魂の唄無印話完結。現在A'sの事後処理中。 異邦人A'sまで完結しました。
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 俺の予定ではお袋に会ったら即日アースラに戻るはずだったのだが、お袋の我侭に加えて戸籍復活の手続きやらなんやらで、結局何日か世話になる事が決まってしまった。
 その事をアースラに報告した所、

『ジンゴ君は休暇中なんだし、もっとゆっくりしてきても大丈夫よ。
 今の所なのはさんもユーノ君も優秀だから問題なさそうだし。
 控えにクロノもいるから……ね!』

 と軽く言われてしまったので、その言葉に甘える事に。
 尤も、瑞穂坂の魔法使い達に、海鳴には手出し無用のふれが管理局経由で出されていた事を知った時には渋い顔をしていたが。
 エイミィに調べてもらった所、そんな指示が出された形跡はないとのこと。
 誰かが管理局の指示に見せかけて、偽りの情報を流したのは間違いない。
 恐らく、ジュエルシードの輸送船を襲ったのと同一犯だろう。

 そして現在、俺はと言えば、

「エム・アムダルト・リ・エルス……」

 現在進行形でお袋に地球式魔法を習っている。
 昔から見様見真似で使えてはいたが、きちんと習った事はなかったからだ。
 お袋曰く、他人にあちらの魔法が見られた時、地球式が使えれば誤魔化しもききやすくなるので覚えておきなさいとのこと。
 現在、秘宝の完全封印を依頼されているお袋としては、恨まれる可能性の高い御薙の姓を俺に名乗らせるわけにはいかないらしい。
 俺の姓を戻すわけにもいかず、雄真を手放さざるを得なかったお袋からしてみれば、俺に地球式を教えるのが唯一の家族とのコミュニケーション手段なのだろう。
 とりあえず月に一度は魔法を習いに来る事を約束させられてしまった。

 やべ、向こうに戻ってからこっちに来る時間取れんのか、俺。

 不安はあるが不満はない。
 技術が頭打ちになりつつある俺にとっても、地球式を習うのはプラスに働く。
 とりあえずこれからどうするか、身の振り方をばあちゃんと相談しないとな、と思った。

「っはあ……きつっ」

 目の前に浮かんでいた一二本のシャフトが力を失って地面に落ちる。
 それを見ながら俺は荒くなってしまった息を整えていた。

 今やっていたのは地球式の魔力制御の訓練法。
 一二本のシャフトを自分の魔力のみで立方体に組んだまま安定させるのだ。
 これを安定させられればClassB相当の力はあると言う事になるらしい。

「うん、いい感じね。
 それにしても流石は刃護君ってとこかしら。
 この年齢でもうClassBに迫る力があるのね」
「まあ……魔力を扱うのは慣れてるしね。
 でもデバイスなしで魔力制御をするのが、こんなに難しいとは思ってもみなかった」
「ClassBレベルなら一般魔法使いと同じ扱いなのよ。
 魔法を本格的に始めて一〇日目でもう見習いの域を出ようとしている。
 これはとても素晴らしい事なの。誇りなさい」
「とは言ってもなあ……」

 地球式を扱う時に魔法使いの補助を担当するマジックワンドを俺は持つ気はない。
 俺の相棒はすでにいるし、地球式の魔法使いになる気もないからだ。
 それにこれでも俺はすでに前線で闘ってきた魔導師。
 見習い脱却程度で喜ぶ事なんて出来ない。
 焦っても意味がないとはわかっても、性分なのか焦りを感じてしまう。
 仕方ない奴だなあと密かに自分を哂った。

「それじゃあ今朝はここまで。朝食にしましょう。
 今日、向こうに戻るんでしょ?」
「ああ。予想より大分遅くなったけど、そろそろ離れてるのも限界だし。
 向こうは大丈夫って言ってるけど、俺がいない間なのはに怪我があった日にゃ……」
「士郎さん達が恐いわね」

 くすくす笑うお袋にそんなもんじゃない、と顔を振った。

 正直、高ランク魔導師よりシロさん達の方が怖えよ。




 身なりを整えて玄関に立つ。

「それじゃ、お袋」
「ええ、また一月後にね。
 戸籍の復活は終わってるし、クローベル家に養子入りした事にしてあるから、今後地球でジンゴ・M・クローベルとして活動するのに支障はないはずよ」
「ん、色々ありがと」
「いいえ、私の方こそ。生きててくれて、ありがとう」

 しばし抱擁してから離れた。
 互いに真剣な表情で頷き合うと、踵を返そうとして、

「!?」
「っ、これは!」

 大規模結界の展開だと!?
 方向は……海鳴!

 俺は急いでロブトールをセットアップする。
 歩いて戻るなんて悠長な事を言ってる暇がなくなった。

「お袋、俺、行くから!」
「この距離をどうやって!?」
「飛ぶさ。大丈夫、認識阻害なら使えるから」

 玄関を開け、助走をつけて空へ駆け上る。

「刃護君!」

 お袋の声に振り向き、地表を見下ろした。
 俺の視線に彼女は一瞬不安そうな顔を見せてから、微笑む。

「行ってらっしゃい。気をつけてね」
「行ってきます!」

 心配要らないと頷き、勢いよく飛び立った。

 ちくしょう!
 隣町とは言え、この距離が恨めしいぜっ。

 ムカつくくらい青い空の下、俺は一心に海鳴を目指した。




「見えたっ!」

 不自然に雲の集まった海の上空、黒と白の点が見える。
 どうやらのっぴきならない状況に陥ってるわけじゃないらしい。
 少しスピードを緩めようとして、

「ん?」

 それ、に気付いた。
 雲が割れそうな兆候。

 これは……まさか!? 次元跳躍魔法か!!
 まずっ、このままじゃ間に合わねえっ。

「ベオウルフ!」
≪yes, my master≫
「≪ユニゾン・イン!≫」

 二つの点目掛けて駆けて行く。




────────世界が──縮まる。




「おおおおおおおおおおおっ」

 俺の目の前で、傷付けさせてたまっかよぉっ!!

「グラビティシールド!」
≪gravity shield≫

 間に合った!

「ぐっ」

 気を抜きそうになった瞬間、右手にぐっと重みがかかる。
 青いシールドの向こう、バチバチと迸るのは紫色の雷。

 まずっ、Sクラス近いぞ、これ!?

「え、ええっ!?」
「っ、か……母さん?」

 なんかごちゃごちゃ言ってるが、知った事かあっ。

「起きろ相棒! 蹂躙せよ、白銀[しろがね]!」

 トリガーワードを叫ぶ。
 体中に魔力が溢れ、それをそのまま目の前の魔方陣に注ぎ込んだ。

「ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 時間にして僅か数秒だろう。
 それでも俺にはそれが数十分にも数時間にも感じられた。
 降り注いでいた雷が、止まる。
 右手にかかっていた重みが消えたのを確認してから、魔力をカットしだらりと腕を下げた。

「っは、はぁ……はっ……」

 心臓がばくばく言っている。
 息が苦しい。
 無理もない。
 今出来る全力で殆どの魔力を一気に放出したのだ。
 目の前がちかちか点滅していた。

「フェイト、逃げるよっ!」
「フェイトちゃん!」
「っ!?」
「邪魔……するなーーー!!」

 皆の声が遠い。
 その場に留まったまま俺はゆっくりと呼吸を整えて。
 ようやく、視界が回復する。
 俺の周りにいるのは、なのはとユーノ、そしてクロ。
 その三人だけだった。

 彼女等は撤退した、か。

「ジンゴ! 大丈夫かっ!?」
「はにゃっ!? ジンゴ君なの!?」
「え!? ジンゴ、雰囲気違うよ!?」

 俺は右手を上げてクロに答えると、地面に降り立つ。

 ちょっと今はしんどいから話したくない。

『三人共……いえ、ジンゴ君も入れて四人ね、戻ってきて』
「……了解」

 リン姉から入った通信に、クロが静かに答えた。

 おーい、俺は今の状況がどうなってんのか、さっぱ分からんのだが。

『で、なのはさんとユーノ君には私直々のお叱りタイムです』

 ほんと、何があったんだろ?

 ようやく息が整ったので顔を上げる。

『ジンゴ君、フォローありがとう。
 アースラに戻ってきてから今の状況を説明するわ』
「了解。……ああそれと、後で通信機器使わせてくれる?」
『わかったわ』

 戦場の匂いがする。
 こりゃ本当に休暇は返上だな。

「ジンゴ」
「クロ、お疲れさん」
「ああ、正直あの雷はやばかった。ジンゴが戻ってきてくれて助かったよ」
「ギリギリだったけどな。間に合ってよかった」

 互いの健闘を称えていると、なのは達が駆け寄ってきた。

「えっと……ジンゴ君、だよね?」
「ああ。他の誰に見える?」
「だって、髪の色が……」

 あ、忘れてた。

「ベオ、ユニゾン・アウト。ご苦労さん」
≪ユニゾン・アウト。主の糧となるのが私の喜びですので≫

 ベオウルフは一瞬姿を現すと、一礼して消える。
 こいつの気質は直りそうにないなと苦笑した。

「あ、戻った」
「ユニゾンしてる間はベオに引っ張られるから見た目が変わるんだ。
 全体的に青っぽくなるんだよな、身体的特徴もバリアジャケットも。
 髪は青が混ざって蒼銀になるし、目に至っては完全に青くなるだろ。
 ま、結構綺麗な色だから気に入ってんだけどな」
「綺麗っていうのは私も思ったけど……ユニゾン?」
「あー、まあ、簡単に言えば、合体だな」

 ベオウルフってユニゾンデバイスだったんだと呟くユーノをスルーする。
 説明がしづらいし、何より厳密に言えばベオはユニゾンデバイスなどではないからだ。

 しっかし、学者とか向いてそうだな、こいつ。
 スクライア一族って皆こんな感じなのか?

 アースラに転送されながら、俺はそんなどうでもいい事を考えていた。
 

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(なのは×はぴねす!+BLEACH多重クロス再構成)
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