其は紡がれし魂の唄～IF～StSその２

其は紡がれし魂の唄～IF～
　別人劇場 in StS
　　その２．StSって眼鏡キャラ思ってたより少ないよね。

「メガネ？」
「そう、メガネ」

　目の前には到底俺に似合いそうもない野暮ったいメガネ。
　それを持ってきた張本人は、にこにこと俺を期待に満ちた目で眺めている。

「つかさ、なんでまた？」
「六課ってメガネかけてる人、少ないじゃない？」
「そりゃ、まあ」

　大体戦う時邪魔だしなあ。
　六課でかけてるのなんて、バックスのグリ坊かシャーリーくらいのもんだ。
　尤も、シャーリーのアレはマッド的な演出の１つらしいが。

「この前取らされた休暇、フェイトちゃんと出かけた時ね、変装用のメガネを買ってきたの」

　嬉しそうに細いフレームのメガネを取り出したなのはは、それをかけて見せる。
　正直、似合っている。
　似合っているのだが……

　いや、これはばればれだろう。

　俺の微妙な気持ちが顔に出ていたのか、なのはが弁明するように慌てて言葉を繋げる。

「お兄ちゃんは見慣れてるからわかるだけだよ。
　私の事情報としてしか知らない人にはわかんないんだって」
「そういうもんか？」
「そういうものなの！」

　ふうんと気のない返事を返すと、なのははぷくっと頬を膨らませる。
　これ以上機嫌を損ねるのはまずいなと判断し、話を進めることにした。

「で、俺がメガネをかけるとどうなるのかが気になったと？」
「そう！　フェイトちゃんのかけた姿も、小学校の時の担任の先生、えっと……」
「ああ、尾賀ちゃんな。お前、担任くらい覚えといてやれよ。あんだけ迷惑かけまくってたのに」
「にゃ、にゃはは。とりあえず、尾賀先生みたいな雰囲気になって似合ってたんだよ」

　とりあえず話はわかった。
　わかったのだが……
　手元に視線を落とすが、どう考えてもこれが俺に似合うわけがない。
　いったいどういう基準でチョイスしたのやらと溜息をついた。

　せめてもうちょっとマシなのはなかったのか？

　ミッドチルダ中の人間に顔が割れているこいつらと違って、裏方でずっと動いてきた俺は変装する必要性を感じていない。
　だが、目の前で笑っている上機嫌な猫に、そんな事は関係ないようだ。
　要するに、ただ見てみたいだけなのだろう。
　俺はもう１度大きく溜息をついた。

「別に構わんが、画像は残すなよ？」
「う、うん……わかってるよ？」

　なぜ、疑問系？
　そしてなぜどもる？

　だらだらと目に見える形で汗をかき始めた妹に呆れながらも黒縁を手に取る。

　大方はやて辺りに煽られたんだろうけど。

　３度目の溜息が外に漏れないよう気をつけながら、仕方なく手の中のブツを装着した。

「ほれ、これでいいか？」
「………………ぶっ」

　失礼な。
　せめて感想を言ってから噴出せ。

　思わず表情が憮然としたものに変わる。

「ぷっ、くくっ、お、お兄ちゃんに……黒縁……」
「大体、なんで黒縁だ？
　せめてフレームが細けりゃもうちょいましだろうに。
　この手のメガネなんて誰がかけても変だろうよ」
「くっ、あっ、だ、だめ……面白すぎるの……
　グ、グリフィス君辺りは……ぷっ、に、似合いそうだよ……くくっ」
「あー、確かに」

　納得したところでさっさとメガネを外す。
　なのはは少し残念そうな顔をしたが、俺の顔を見て再び噴出した。
　とりあえずムカっときたので、未だ肩を震わせてる馬鹿は放っといてさっさと部屋に戻る事にした。




　なお、この後数週間、なのはは俺の顔を見る度に噴出したので、仕事にならないと言われ、俺に訓練参加禁止令が出されたのであった。




　っておい！　理不尽にも過ぎるだろうこれっ!?



　没理由
　　アランの性格が──（以下略。
　　それもあるけど、本編中に訓練が出来ないはアウトだと思います。