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いくら俺が身体に引っ張られてるとは言え、あの子は10以上年下の俺の妹だぞ」
「そ、そうですよね。ボクはてっきり……」
「てっきり、ねぇ……まあ追及しないでおいてやるが」
所変わって本局医務室。
なのははリンカーコアの精密検査中でおらず、クロノは現在進行形で説教中。
いや、話を邪魔されたのはクロノがそれだけ俺達を心配していたからなので別に構わなかったのだが、あの場面を見てこいつは思いっきり誤解しやがった。
『ご、ごゆっくり』
などと言う言葉と共に通信を切られたら、いくら温厚な俺でも切れる。
「先生は温厚とは程遠いような……」
「あ゛あ?」
「いえっ、なんでもありません!」
あの時のなのはの慌てっぷりと言ったらそりゃもうなかった。
盛大に猫のような鳴き声を上げ、周りを見渡してから俺が引っ掛けていた毛布を奪い頭から被ったりとか。
一瞬だけコントかよと突っ込みそうになった俺を責められる奴はおるまい。
ま、恥ずかしいって感情を持つようになったって点ではありっちゃありなのか?
今俺はアースラが整備中と言う事で、管理局本局の医務室を使わせてもらっている。
本局附属病棟のベッドに空きがあるそうなので、しばらくそっちで世話になる事なった。
完治まで5日程度らしいので、思ったよりタイムロスは少ない。
その間くらいはゆっくり養生するつもりだ。
いつも思うがこう言うとこは魔法って凄いよな。
外面的には何もなくとも、内面的にぼろぼろだった俺の身体がたったの5日で完治するんだし。
「あまり無理しすぎないで下さいよ。
母さんも仕事が忙しくて来れないだけで、凄く心配してたんですから」
「わかってるさ。俺もここまでやばい事になるとは思ってもみなかったんだ」
実は猫2匹に喰らったダメージはそこまで大したものではなかった。
内臓に大ダメージを与えた原因の大半は、龍眼の使用による。
あの時は破壊衝動を抑えるのに手一杯で、身体のダメージにまで気を使えなかったのだ。
最大の敵は自分、とはよく言ったものだと思う。
「まあ困った事に俺の場合厄介事はあちらからやって来やがるしなあ」
≪トラブルマスターですから≫
「お前、それを言や全部済むと思ってないか?」
指先でドラッケンを弾く。
ちかちかと何度か光ると、相棒は沈黙した。
どうもここ数年反抗的で困るな。
「とりあえず、来る前にも言ったが裏は取れたのか?」
「はい。やはり関わりがあるようです。
もう少し調べて詰めたい事もあるんですが、どうも手が足りなくって」
「まあ、元々の仕事も、フェイトの事もあるからな」
手が足らない、か。
そういや家に暇そうなのがいたな。
「ジュエルシードの件が終わってから海鳴は比較的平和でな」
「先生?」
「うちに何もしてない居候がいたから打診してみたらどうだ?」
「ああ、あのスクライアの」
クロノもすぐ思い当たったのかぽんと手を叩く。
「おう。ユーノ・スクライアな。
あいつ補助系得意だし、多分探索もいけてるだろ。
家にいて何もしてないのは肩身が狭いって言ってたし」
「……後で打診してみます」
にやりと笑うクロノを見て早まったかなとも思う。
正直、今のクロノは正義の人と言うよりかは悪役っぽい。
すまん、ユーノ。
心の中で華奢な少年に向って手を合わせる。
お前の事は忘れないと呟くと、まだ死んでいませんよっ!? と言う空耳が聞こえた。
完全無欠に気のせいだろう。
気のせいのはずだ。
あいつは今、海鳴にいるはずなのだから。
「ただいまー。2,3日魔法を使わなきゃOKだってー」
丁度そこへ精密検査を終えたらしいなのはが元気に戻ってくる。
部屋に漂う微妙な雰囲気に気付いたのか、なのはは俺とクロノの顔を交互に見比べ首を捻った。
「ふぇ? 何かあったの?」
「いや、クロノの愚痴を聞いてた所だ。人手不足らしくてな」
そう2人で顔を見合わせ苦笑する。
ある意味ユーノを人柱にしてしまったようなものなので、なんとも説明がしづらい。
「そっかあ……クロノ君達も大変なんだね。
あっ、フェイトちゃんの事はどうなってるの?」
「アースラが整備中だからね。今は本局の1室にいるよ。
事情聴取は大体終わったから裁判待ちをしている所だ」
「大丈夫そう?」
「大丈夫、今の流れならほぼ無罪を勝ち取れる。
ただ流れを確実にする為に、嘱託魔導師の資格を取得してもらう事になった。
裁判後しばらくは嘱託魔導師として働いてもらう事になるかな」
なのははそれを聞いて胸を撫で下ろすと、何かを考える素振りを見せ始める。
この反応はあらかじめ予想できた事だ。
だから俺はきっと止められないのだろうと内心で溜息をついた。
「ねえクロノ君」
「なんだい?」
「私に何かお手伝いできる事、ない?」
だよな、やっぱり。
この子はそう提案すると知っていた。
この8年間、俺はなのはの一番近くにいたと言う自負がある。
だからなのはの発言は想像通りなのだが、それでも俺はがっくりと肩を落とした。
「ええっと、そりゃ、手伝ってもらえれば彼女の負担はそれだけ少なくなるが……」
ちらちらとこちらを伺うクロノ。
クロノは、本来的には俺がなのはをこちら側へ関わらせたがっていないのを知っているからだ。
今更ではあるし、俺自身の事もあるからこれから俺達は徐々に距離をとっていく事だろう。
その中で、果たしてなのはがどうした選択を取るかはこの子自身に委ねられるべき事項だ。
俺が口出しできる範囲は、もうとっくのとうに超えてしまっている。
それに、こちら側へ関わらせたがらないのに、この後に計画している俺の行動ははっきり言って矛盾もいい所だ。
だがそれが誰にとっても1番効率がいいのも確か。
否、俺にとって、だろうか。
クロノの反応を見てなのはが俺の方を向いたので、どうしようもない気持ちに頭をかきむしった。
「お兄ちゃん……」
「あー、分かっていた事とは言え、正面から言われると……」
≪キング、それでは伝わりません≫
伝わらないように言ったから当たり前だ。
まあ……こうなる事は分かり切ってたから来る前に父さんに話をしたんだし。
腹ぁ、括りますか。
「えっと……」
「なのはがそうしたいなら俺は止めん」
≪というより“止められない”が実際ですけどね≫
「ほんとっ!?」
「……ただし、条件をいくつか出すぞ」
「うんっ、うんっ」
本当に聞いてるのかなあ?
これは、俺がなのはにできる最後の口出しになるだろう。
それを少し寂しく思いながらも、右手を前に出して人差し指を立てた。
「1つ目、管理局にこれからも関わる事を自分の口から家族皆に伝える事。
説得も自分でしなさい」
「はいっ」
恭也辺りの反応は微妙かもしれないが、こうなったなのはを止められる奴は家には存在しない。
恐らくなのはの主張は簡単に通ってしまうと思われる。
一応父さんにはあらかじめ話してあるし。
「2つ目、フェイトが仕事を始めるまでにはもうしばらく時間があるよな、クロノ」
「あ、はい。裁判には大体半年以上かかると思います」
「ふむ、丁度良い期間だな」
「え?」
「その間なのはは俺と一緒に勉強してもらう」
「え、でも今もしてるよ? 朝の鍛錬と、放課後の魔法訓練と、夜の座学」
あれ?
こう言われると小学校3年生のスケジュールじゃないな、これ。
なんて今更な事に気付いてしまった。
「あー、いや、そういう類の勉強じゃなくてだな。社会勉強だ、社会勉強。
クロノ、嘱託って半年だけの登録は可能だったか?」
「一応短期契約も可能ですが」
「……確か試験項目に儀式魔法があったからなのはは取得不可か。
嘱託魔導師の下位協力者として民間魔導師を組み込む事は可能か?」
「……少し難しいですが、最近人手不足が酷い事を考えれば通るかもしれません」
少々渋い顔をしているのはまた手続きなどで仕事が増えるからだろう。
いつも迷惑をかけてすまないと思ってはいるんだが。
「じゃあ俺が嘱託魔導師認定試験を受ける。
その上で民間協力者としてなのはを組み込む形で頼む」
「……ふう。人手不足が解消するのは嬉しいですが、また仕事が増えましたね。
アースラ所属という事にすれば、協力者関係は艦長に委ねられるのでいけると思います」
文句を言う口とは裏腹に、クロノの顔は少し嬉しそうに見える。
どうやら管理局の人手不足は相当深刻らしい。
尤も、それだけが理由ではないのだろうが。
「じゃあ先生の傷が完治後、認定試験を受けてもらいますね」
「無理言って悪いな」
「いえ、先生達の力が借りられるなら悪い話じゃありませんから」
最近クロノ達に頼りっぱなしな気がする。
早めにクロノ達以外のコネも作っておいた方がいいだろうか。
「で、だ。裁決が出たらフェイトの下位協力者と言う形にずらせばいいだろう。
その後どうするかはなのは自身で決めればいい」
「分かりました。
では登録された場合、アースラ所属になるよう手を回しておきます。
先生の魔力値はそう高いわけではないので、多分通ると思います」
「ありがとう、お兄ちゃん、クロノ君!」
喜ぶなのはの姿を見ながら、リン姉が滅茶苦茶喜びそうだなと溜息をついた。
別にクロノ達に協力するのが嫌と言う訳じゃない。
ただ、
「泥沼だなあ……」
しかも順調に嵌って行ってる気がする。
とりあえずは、
「半年間は俺について社会勉強。いいな?」
「はい!」
まったく、こっちの気も知らないで満面の笑みをしやがって。
これを見ると、まあいいかと思えてしまうから恐ろしい。
「なのはは一応俺の部下扱いになるからな。
常識的に考えておかしい命令が出てたら、それ出した奴潰しに行くからよろしく」
「わ……わかりました」
どうしたクロノ?
汗が凄いぞ。
「さしあたって最初の社会勉強は5日後ってとこか」
「先生、まさかなのはを連れて行く気ですか?」
「社会勉強だからな。本来なら知らないでも良かった所を知ってこその社会勉強だ。
一応今回の当事者の1人だし、同席は可能だろう?」
「いやまあ、そうですが」
渋るクロノを見ながらこれが普通だよなと内心自嘲する。
これが、襲撃を受けた時から考えていた計画の1つなのだ。
実はなのはが管理局に協力する話は俺にとって都合がいい。
無論、局に目を付けられると言う点から見ればやらなくて済むのが1番だ。
しかし、社会勉強と言う意味ではこの上なく、俺が家を出る前の期間様々な事を教え込むのにはまさにうってつけ。
この期を逃さずに俺の持てる全てを叩き込みたいと思っている。
焦りすぎというのは否めないし、都合がいいなどと考えてしまう自分には反吐が出そうだが、それでも頭の中で計算してしまう自分がいるのは止められない。
「データを見る限りなのはも被害者と言えなくはないですから、同席はできなくもありませんが……いいんですか?」
「少し早すぎるがその辺は父さんにも話してある。こうなる事は予想出来てたからな」
最後の小声に俺も小声で答える。
それならとクロノは頷き、
「じゃあボクは5日後までに証拠固めをしておきますね。
なのは、ボクも後で海鳴に行くからご家族に伝えておいてくれないか?」
「にゃ!? 家に来るの?」
「ああ、ちょっとユーノの力を借りたくてね」
その言葉に苦笑いすると、クロノが出て行こうとしたので呼び止めた。
「どうしました?」
「フェイトへの面会は可能か?」
「まあ一応は。ただ関係者の接触に関してはかなり五月蝿く言われているので、全て記録されてしまいますが大丈夫ですか?」
「……まあ余計な事言わなきゃ大丈夫だろ。部屋を教えてくれ。
なのはも会いたいだろうし、暇だからバルディッシュを調整しておく」
「わかりました。面会許可を出しておきます。彼女の部屋は──」
その他注意事項などを1通り喋るとクロノは早足で出て行った。
あいつの仕事を増やしまくっている身としては本当に申し訳ない気分だ。
「じゃあフェイトちゃんに会いに行こ!」
「そうだな」
跳ねる様に俺の少し前を歩くなのはと本当に跳ねているなのはのピッグツイン。
それを見ながらゆっくりとついていくが、距離が離れるたびに早く早くと急かすよう振り返る。
「お兄ちゃん、歩くの遅いよ!」
「おいおい、一応俺も怪我人だぞ。全治たったの5日だけどな」
苦笑しながら言うと、あっと声を上げ気まずそうになのはは頬をかいた。
「にゃはは、元気そうだったから、つい……」
小走りで俺の隣に戻ってくると手を取られる。
一瞬驚いて身体強張ったが、見るとなのはの右手が俺の左手を握っていた。
そう言えば、最近はなのはと手を繋ぐ事も殆どなくなっていたはずだ。
この子が成長してきた証だと思っていたのだが。
「……珍しいな」
「うん。なんかこうして繋ぐとね、お兄ちゃんがそこにいるって安心するの」
「そうか」
ここで不自然な態度は取れない。
空いた手でくしゃりと頭を撫でると、いつものようににゃははとなのはが笑う。
それに、胸のどこかが痛んだ気がした。
いつもより甘えが多いのは事件直後だから……か?
もしくは俺が考えている事を敏感に感じ取ったか。
ちらりとなのはを盗み見るも、今の所その笑顔に翳りは見当たらない。
とりあえず半年のうちに甘えん坊な所をどうにかするかと考え、自信ないなあと内心嘆息した。
なんだかんだでついつい甘やかしてしまうのは俺だからだ。
最初の課題は俺の妹離れか。
しないと……駄目だな。
隣を歩くなのはに気付かれないように、どうしたもんかと俺は頭を悩ませた。
なのはがノックすると、すぐにドアは開いた。
「フェイトちゃん!」
「えっ、なのは?」
フェイトは急に訪ねてきた俺達に困惑しきりの様子。
まあ、ついこの間感動的別れを演じたばかりだからな。
まさかなのは達の再会がこんなに早くなるとは俺も思わなかったし。
「あ、アランも」
「よう、元気そうでなによりだ」
「うん、2人共元気そうでよかった」
いや、俺が元気だと言うのは微妙な所だが。
「今日はどうしたの?」
「ちょっとこっちに来る用があってな。クロノにもう面会可能だって聞いて──」
「フェイトちゃんに会いに来たの」
俺の言葉をすかさず継いで、なのはが喋る。
やばい、このままだと用事が済ませられん。
「なのは、ちょい落ち着け。フェイト、バルディッシュを貸してくれるか?」
「うん、構わないよ」
ぱたぱたと奥へ走って行ったかと思うと、すぐに戻ってきた。
手に三角形の黄色いプレート。
バルディッシュの待機状態だ。
「はい。調整してくれるの?」
「ああ。5日程こっちの病棟に入院する事になってな。
どうせ暇だからその間にやっておこうかと思って。
大分自由が確保されてきたみたいだから、訓練もしたいだろ?」
「うん、ありがとうアラン……って、入院するの!? 怪我? 大丈夫?」
礼を言いながら微笑んだと思えばあわあわと俺を心配する。
その様子がなんだか可愛らしくて笑みを深めるとフェイトは恥ずかしそうに頬を染めて。
いつもなら頭を撫でる所なのだが、そうしなかった俺をなのはが疑問気に見ていた。
ちと、不自然だったか……?
「大丈夫だ。今も歩けてるし日常生活は出来る程度にゃ治ってる。
5日ってのはまあ、完治までの時間だな」
「そっか、よかった。あ、でもこれから病室に行くの?」
「部屋と言うかベッドが準備できたら連絡が来るはずなんだが……」
≪まだ来てませんよ≫
「だそうだ」
軽く肩をすくめながら言うと、そうなんだと彼女は相槌を打つ。
よかった、この様子だとシアの遺言はいい方向に働いたみたいだな。
「むー、お兄ちゃんばっかり話しててずるい!」
「あ、ここで話すのもなんだから2人共入って」
「うん!」
「じゃあ少しだけお邪魔するかな」
中に入れてもらうとベッドの下で狼形態のアルフが寝ていた。
近頃は人間形態で過ごす事も多いと言いながら、フェイトがお茶を入れてくれる。
「そういやあれの中身はもう見たんだよな?」
笑顔の翳りが殆どなくなっているから間違いないとは思うが。
「うん! クロノ達がわざわざリンディさんの部屋で見せてくれたよ」
「あ、記録取られてるから発言は慎重にな」
「あ、そっか。えっと……嬉しかった」
「そうか、よかったな」
すっかり綺麗に笑うようになった彼女に今度は頭を撫でる。
くすぐったそうに目を細めたフェイトは本当に子犬のようだ。
なんの錯覚も現れなかった事に心の底から安堵し、彼女に応えるよう微笑んでみせた。
「あれって?」
「ああ、この前のチップだ。その様子だと良い内容だったみたいだな」
「アラン、中身知らなかったの?」
「当然だ。あれはフェイトへ宛てたもんだぞ。
それを途中で覗き見るなんて無粋な事するわけがないだろ」
「にゃはは。お兄ちゃんそう言う所はこだわるよね」
苦笑気味のなのはに思案気味のフェイト。
話す内容が制限されてしまっているのがなんとももどかしい。
元気に話し始めた2人を眺めていると着信があった。
≪キング、クロノさんからメールです≫
「読み上げてくれ」
≪1205号室の準備が整ったそうです≫
そりゃ読み上げじゃなく要約だろと突っ込もうかと思うが止める。
その方が楽なのは確かだからだ。
「じゃあ俺は先にお暇しようか。
なのは、長くなるようなら家に連絡入れておけよ。
クロノが来るって父さん達に伝えておかないといけないだろ。
ついでに俺の入院の事も言っておいてくれ」
「うん!」
「フェイトはまた今度ゆっくりな。
バルディッシュはすぐ調整が終了すると思うから、完治後にでも持って来るさ」
「あ、うん。けど……」
言い淀むフェイト。
この子も遠慮するタイプだなと内心思いながらも先を促す。
「どうした?」
「姉さんの話、聞きたいから。
外出許可が出たら、お見舞い、行ってもいいかな?」
妙におどおどしているフェイトを見て安心させるよう目元を緩めると、ぽんと頭に手を置く。
いつも通りに過ごすと言うのは中々に難しいものだと内心嘆息するが表には出さない。
こちらの事情は、彼女達には関係のない話なのだから。
俺の都合で振り回してしまってはいけない。
自然、俺はいつも通りの答えを返す事になる。
「もちろん大歓迎だ。入院中は暇だしな。いつでもおいで」
「っ、うん!」
ぱあっと笑顔になったフェイトから手を離し立ち上がった。
首を回すとごきりと鈍い音がなる。
結構肩こってるなと考えながら、この5日間は大人しくしていようと誓った。
流石に最近忙しすぎた。
「あいつ結局起きなかったな。しょうがない。アルフにもよろしく言っておいてくれ」
「うん、またねアラン」
「ああ、またなフェイト。なのはもまた5日後な」
「うん」
手を振る2人に軽く振り返すとメンテナンスルームに向かう。
バルディッシュの調整とフェイトの見舞い、あと自分のこれからの事を考えなければならないなと思いながら。
とりあえずこの入院中、暇で死にそうになる事はなさそうなのが救いだな。